巡る因果の猫車 ─ reboot ─

何を今さらな『集団的自衛権』のお話

 まーた間が開いてしまいました。待っててくれてる方には申し訳ないorz
 時間が開いて体力的にも余裕があるときにボチボチ更新していきますので、気長にみてやってくださいませ。

 さて、集団的自衛権が閣議決定され、なにやら世間が騒がしいけど、皆様、何を今さらな大騒ぎをしてるんでしょうという疑問が強いです。
 憲法九条を改正しないまま、戦争へと大きく関与するのって、別にこれから始まるって訳ではないのですが。
 ちょっと、その辺の歴史をおさらいしてみましょうか。

 現憲法9条の下、我が国が戦争に参加した事例って歴史が古く、施行直後の1950年10月、朝鮮戦争の本山上陸作戦の準備として、機雷掃海を行ったのが始まり。当然の事ながら最前線もいいところでの作業ですから、事実上の参戦と言っても過言ではないかと思います。
 ただこれ、憲法施行直後ではあるのですが、皆様ご存じの通り、当時は進駐軍による占領のまっただ中。当然の事ながら主権回復前に拒否権のない要請を受けての結果(実際、当時の吉田茂首相は乗り気ではなかったようですし)ですので、日本独自の判断とは強弁は出来ません。ただ、状況によっては、主権者たる国民や政府の意向など関係なしに、いとも簡単に憲法が蔑ろにされてしまう事例として、覚えておいてもいいかもしれません。

 さて、朝鮮戦争が停戦に至り、ベトナム戦争などの国外状況を横目に、日本も表向きは戦争にかかわらず、国民も戦争など無縁な平和国家という幻想に浸りながら数十年を過ごしてきました……日本各地の米軍基地が、極東・中東方面に展開する米軍の後方根拠地になってたのを、日本による戦争への荷担に相当しなければ、の話ですが(個人的には、これも微妙な話だなーとか考えたりも。善し悪しは別として)。

 しかし、その幻想の時も、唐突に終止符が打たれました。湾岸戦争の勃発です。

 えー、これ多分『嫌々戦費供与しただけじゃないか!』と言われる方もいるかと思います。ですが、その戦費提供こそが問題であり、戦後日本のターニングポイントだったと、あたいは思うんですよね。
 これこそが、憲法9条に完全に決別し、戦争という行為を、道具として日本国が行使し始めた瞬間だったんじゃないかと。

 「戦費提供なら別に部隊派遣してるわけじゃないし、参戦とは言えないだろ!」

 と言う人もいますでしょう。しかし、昔から言うように、腹が減っては戦は出来ません。前線で戦うためには兵器や弾薬・燃料が必要ですし、それを扱う兵士達には、十分な糧食を与えねばなりません。
 そして、それらを購うには何が必要かと言えば……そう、お金です。
 どれだけ精強な軍隊を有していようとも、お金がなければ戦争は出来ませんし、そもそも軍備を整える事すら出来ません。つまり、戦費提供というのは、前線での戦闘と同等かそれ以上に重要な戦争行為と見なすべきであり、これをもって平和国家日本という看板は、完全に下ろされたと見ていいのではないでしょうか?
 あたいに言わせれば、『戦争のスポンサー』となってしまう事に比べれば、後のPKO参加なんて可愛いもんだと思うんですよ。実際、そっちは戦後の後片付けって側面の方が大きい場合の方が多いですしね。

 さて、話を集団的自衛権に戻しますが、こちらもすでに発動させちゃってるのに、何言ってるんだかなーって気分が強いです。
 どこで発動されてるかって?
 今現在も、ソマリア沖に派遣されてる護衛艦は国籍の別なく、紅海を行き来する船を海賊の攻撃から守ってます。これを集団的自衛権と言わずして何というのでしょう?そのためにジブチと地位協定を結んで基地まで作ってますし。
 更に言うなら、インド洋での給油支援。これもまた、比較的安全な後方での任務ではあったのですが、航続距離の短い艦艇へと燃料を補給することにより、より効率的なペルシャ湾での哨戒活動を実現したという点において、間接的ながら集団的自衛権の行使と言っちゃっても良いんではないかと思います。
 その点からみても、「日本が戦争をする国になる!」とか今さら何を言ってるんだと。

 つまりは憲法の戦争放棄にせよ、解釈論における集団的自衛権否定にしても、とうの昔に放棄された方針であり、安倍氏の暴走の結果そうなったわけじゃありません。てか、そこまでの力が安倍氏一人にあるわきゃないでしょー。


 ああ、だからってそれが悪いだの、9条を護れ!なんつー事は言うつもりはありません。憲法制定時とは国内国外問わず環境が大きく変わってますしね。
 軍備よりも優先すべき国力倍増要素が山のようにあった敗戦直後ならいざ知らず、今や日本はGDPでは第三位、紛う事なき経済大国であります。で、あるならば、世界から期待される役割も大きくなることは必然であり、今さら一国平和主義を掲げて列島に引き籠もってる訳にもいかないでしょう。
 事実、集団的自衛権行使も含めた軍事力行使を、PKO協力法成立の1992年以降行ってきたわけでして。
 今回の集団的自衛権容認の閣議決定と、今後続くであろう関連法の整備は、言ってしまえば現状の追認であり、遅すぎとすら言える措置だと思います。
 これまでは運良く、現場指揮官の判断でPKOに参加している他国の友軍を救うために、自衛隊が砲火を開くなんて事態は起きずに来ましたけど、今後もそれが続くとは限りませんし、そうなった時に現場指揮官が詰め腹切らないといけないような状態を、いつまでも放置しておくわけにはいかないでしょう。


 え? 集団的自衛権の容認が現状の追認であり、国際社会から求められる日本の役割を果たすために必要だと言うなら、解釈の変更ではなく、憲法を改正すべきだ?

 うーん、それ言われちゃうと結構困っちゃうんですよね。反論のしようがない大正論ですから。
 あたいとしても、憲法を改正して自衛隊の地位とその権限をはっきりさせるのが理想だとは思うんですよ。
 ですがこれまで長々と述べてきたとおり、日米安保の傘の下、平和国家の幻想を追い求めて、国外の情勢や、自国の為している行為にすら、我々国民や政治家の多くは目を背けてきたわけじゃないですか?
 議論すら許されない空気の中、割と暢気に過ごしてきちゃった人達に、急に「現実を直視して憲法を改正しろ!」ってのもなかなか難しいと思うんですよね。国際情勢の変化によって、日本の立ち位置がどう変わったのか、そして何を期待されているのか、真剣に考えてこなかったのですから。
 そんな状況で憲法を改正しようとしても、どう考えても時間がかかりすぎますし(第二次安倍政権が2期8年くらい続いたとしても、難しい気がします)、そんな国内情勢とはお構いなしに、日本の状況は良くも悪くも変化していきますし。
 で、あるならば、もう次善の策としては解釈改憲しか残されていない気がします。こう言っちゃ安倍首相を擁護しすぎの気もしますが、ある意味、理想を通せないが故の次善の策を取ったのではないかと、あたいなんかは思うんですけどね。
 せめて、湾岸戦争の戦費拠出の時に、きちんとした認識で議論が行われていれば、今頃はこんな下らない話でガタガタ騒ぐ必要も無かったんでしょうけど……

 で、今回の閣議決定による解釈改憲で「いつか狂人めいた奴が首相になって、徴兵制や侵略戦争に乗り出すに違いない!」みたいな話も流れていますが……これもいくつかの点でバカくさい話でして。
 まず第一に、もし軍国主義のキチガイじみた連中が与党になるとしたら、もうその時点で集団的自衛権の行使を容認していようとしていまいと、国民の支持の下で軍国化が進むわけですから、もはや安倍政権とか関係ない話になってしまうこと。
 そして第二点。こっちのが重要かもしれません。
 湾岸戦争における戦費供与の話でも言いましたけど、軍隊ってのは結局のところ、お金がなければ動けません。で、現代の軍隊というのは装備に金がかかるのは皆様ご存じの通りでして、にわかに外征可能な軍に自衛隊を改編しようにも、それには莫大な予算と、10年単位での時間が必要となるでしょう(参考にならないかもしれませんけど、開国から日清戦争に至るまでに30年近い歳月がかかってる事を考えるなら、ある程度まともな軍の編成に時間がかかるのは解って貰えるのではないでしょうか)。
 もちろん、徴兵制なんてやってたら、外征向きの装備を整えるような予算なんか、逆さに振ったって出なくなることは請け合い。

 まあそんなわけで、軍国主義政権の成立という非常に低い可能性の上に、外征軍の編成という、長い期間と予算を必要とする侵略戦争準備なんて事業をやり通すとか、ほとんど不可能な妄想と考えても良いんじゃないかと思います。


 ただ……最後の予算の問題は、実のところ集団的自衛権容認の立場においても、アキレス腱だと思うのですよ。任務は増えるのに、予算が増えないなんていう事態、ここ10数年の防衛予算の推移考えると、普通にあり得そうなのが頭の痛いところ。
 もちろん、国民生活に支障が出ない程度に軍事支出を抑えるというのは、健全な話ではあるんですけど、これから法整備がなされて自衛隊の任務が広がることを考えると、どうにも不安は拭えませんね。
 今の予算配分では結局のところ、上の無茶振りを下の献身が支えるっていう、太平洋戦争で破綻した構造の再現になりかねない気もします。集団的自衛権反対の人達も、こっちの方から攻めてみるってのも手だったのではないでしょうか(もちろん、予算が不足するなら増額しようとなって藪蛇に終わる可能性も割とありますが)。


 まあ、とにもかくにも、集団的自衛権の行使なんて、既に今さらの話題なのですが、これを契機に、日本が行うべき軍事力の行使や、その振るいどころの議論が深まれば良いんですけどね。

 どーにも、そうはならず、決まった後は誰もが忘れて自衛隊が苦労するだけって話になってしまいそうではありますが……
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コメント

日本国憲法制定とその後のゴタゴタは「やる夫で学ぶ日本国憲法」の作者さんに任せるとして。
まあ、アメリカにしてみれば「なんで60年守ってんのさ!」ってのが本音でしょう。
(日本人感覚だと「60年なんて一瞬じゃないか」と言われて諸外国が絶句する姿が容易に浮かびますが。<なんせこの手のは武家諸法度という前例が(滝汗))
まあ、財務省がそろそろ悲鳴あげて、主計局の連中が進退窮まると思いますが。
(そうでなくても人手不足だと騒がれる昨今ですし)
福祉と軍事に金よこせと厚労省と市ヶ谷が手を組みかねない予算編成してきたツケが財務省にどう掛かるのかを注視しております。
(その他諸々も含めてツケが莫大ですし)
2014-07-20 Sun 16:29 | URL | elfte [ 編集 ]
マダァ-? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
2014-08-23 Sat 17:02 | URL | [ 編集 ]

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